弾いてみたい男 Chapter.6 ~最難関~

シリーズ ドキュメンタリー オブ 弾いてみた
早いものでこのシリーズも6つ目の記事を書くまでに至った
前回、ゲームオブザイヤーの誘惑を振り切って左手の練習に着手
あれから4日
なんだかんだ投げずに左手だけの練習にアホみたく邁進し、ほぼほぼ楽譜を見ずに弾けるようになった(ミスはする)
当初の予定では通しで弾けるようになるまで頑張る予定だったが、右手よろしく煩わしさに襲われ、オープンワールドに行きたくなってしまいそうだったので、思いきって両手で練習することにした!
というわけで、11.9の深夜、両手開始
分かっていたことだがまったく弾けない
片手だけの場合よりも遥かにシビアだ
神経の消耗が尋常じゃない
片手の時は1小節を大まかな区切りとしていたが、今度はそれを一つ一つの音で行う
1つ目の音まで弾けたら次は2つ目、それができたら3つ目
気狂うわ!
1小節弾くまでにどんだけ時間かかんだよ!
でもね、楽しい
一番楽しい
片手はそこはかとなく作業感がついて回ってたけど、両手は正面からピアノに向かって、弾いてる感がすごい
恐らくピアノの練習においてこの行程が一番楽しい
できなかったことができるようになる
しかも片手とは違ってちゃんと完全な曲になってる
だから弾けた時に「あ、やっぱこの曲すげえいいな」とか「あ、今めっちゃピアノ弾いてる」とか思えて高まる
これまでそこそこ色々な曲を弾いてきたが、最も楽しいと感じるのは毎度両手の弾き始めな気がする
ただし!
俺はちゃんと曲を習得するより途中で投げた曲の方が多い
そしてそのタイミングは両手がある程度弾けるようになった時、というケースが少なくない
楽しさの最高潮から徐々に冷めていくというパターン
まあ、何事においてもある程度のレベルで妥協せず、より完成度を高めていくというのが一層難しいのは世の常
つまりこの先には、これまで以上に険しい道が続いているということ
このシリーズがいつ打ち切りになるやもしれない
あるいはこの記事が最終回になるかもしれない
と思えば数年後にひょっこり再開するかもしれない
この挑戦の行方は、誰にも分からない・・・・・・!
 
両手を始めて間もない頃の録音、ほんの一部しか弾けない
 
譜面のコーナー
今回はグチ編
今のところ両手で練習できているのは曲の最後の方のみ(片手と同じように終わりから弾いてる)なので、その範囲でのグチ
まずこの一連の譜面を見てほしい

f:id:tekito1231:20191209181043p:plain

最初に言及したいのは16分音符の量だ
この部分はほぼすべての小節に5つ以上連続した16分音符が置かれている

f:id:tekito1231:20191209181111p:plain

念を押しておくがこの曲はとてもスロウな曲である
聴いているとなんとも優雅な、英国の貴婦人にでもなったかのような気持ちになれる
それがどうだろう
いざ、自分で弾いてみると
とてつもなく忙しい
そんなデスメタルソングの中でも、このパートの忙しなさは常軌を逸している
このせっまいせっまい5小節
全体の48小節の中のたった5小節
全体のおよそ1割の中に、これでもかというくらい16分音符が出てくる
さも、レギュラーのような顔で
アホか、お前なんかお呼びじゃないんじゃ
とっとと降板してデトロイトメタルシティに帰れ
このパート以外で16分音符が5つ以上連続している箇所は、右手が2ヶ所、左手が1ヶ所
このパートには・・・・・・5ヶ所!?
1~36小節には3ヶ所しかなかったのに、37~41小節に5ヶ所!?
ちなみに4つ連続の場合は別でさらにもう2ヶ所ある

f:id:tekito1231:20191209181448p:plain

どうあがいても過労死不可避
絵に描いたようなブラック企業、もといブラックデスメタル(強そう)
 
さて、ここで散々言及している16分音符がどれだけ速いのか、計算してみよう
この曲のテンポは68bpm(beat per second)
つまり1分で68拍(4拍で1小節)
1分は60秒
1拍の長さ(1拍と1拍の間の秒数)を求めるために、60を68で割ると・・・・・・
約0.88
つまりこの曲は0.88秒ごとに1拍が刻まれている
4倍すると3.52なので1小節の長さは3.52秒ということになる
さて16分音符とは1小節を16等分した長さの音である
1小節の16等分ということは1拍の4等分
つまり0.22
この曲における16分音符は1つ0.22秒のペースで弾いていかなければならないというわけだ
※参考動画は68bpmの16分相当、すなわち4倍の277bpm
 
さらにこの3ヶ所は、速さだけでなく距離や同時押しなどの問題もある

f:id:tekito1231:20191209212129p:plain


右手の親指と人差し指の四連続同時押しは、ドとレから1オクターブ以上離れているラとドへの移動もあり、精度を維持するのが非常に難しい

f:id:tekito1231:20191209191845p:plain

ファ+ラ、ミ、ラ、ファの下り階段からさらに下のシをオクターブで弾く
小指でファを弾いた後、1オクターブ以上離れたシの音への大移動

f:id:tekito1231:20191209193617p:plain

 

極めつけは、やたら長い階段の最後に3つの同時押し

シ→ソ→(1オクターブ離れて)→ド をすべて小指で弾かなければならない上に、最後のド+シ+ドは16分とか関係なく単体で押しづらい
f:id:tekito1231:20191209211425p:plain
 
こうして分析してみると、改めて悪鬼羅刹のような曲である
なぜ曲名が悪鬼羅刹じゃないのか疑問で仕方ない
恐ろしいのはこの譜面など比べ物にならないような凶悪な譜面が、世には五万とあるという事実
全体から見ればこの曲など、レベル2のコラッタも同然
嗚呼・・・・・・
続報を待て!